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[研究成果] 北村班の研究がSci Rep誌に掲載されました!

2021.12.13

Fukushima, T., Tanaka, Y*., Adachi, K., Masuyama, N., Tsuchiya, A., Asada, S., Ishiguro, S., Mori, H., Seki, M., Yachie, N., Goyama, S. and Kitamura, T*. CRISPR/Cas9-mediated base-editing enables a chain reaction through sequential repair of sgRNA scaffold mutations. Sci Rep, 11(1):23889 (2021)


多くの生物学的な現象は、連続した化学反応や細胞反応で構成されている。そのため、生きている細胞内の連続した事象を分子レベルで記録したり、介入したりできるプラットフォームの開発は生物医学研究の分野の進歩に重要であると考えた。そこで私たちは、このプラットフォームの開発のため、生きた細胞内で連鎖反応するシステムの開発を試みた。本研究では、ニッカーゼCas9(nCas9)にシトシンヌクレオチドデアミナーゼ(CDA)を結合させたnCas9-CDAを用いて、哺乳類細胞内でsgRNAを連続的に活性化できる細胞連鎖反応システムを考案した。このシステムでは、sgRNAのスカフォールド領域にチミジン(T)からシトシン(C)へ変異を加えることで不活性化したsgRNAを用いる。この変異をnCas9-CDAとsgRNAを用いることで修復することで、次のsgRNAが活性化される。これらの反応は複数回起こり、細胞内連鎖反応となる。このシステムの実証として、HEK293T細胞にてsgRNAのスキャフォールド変異を修復することにより、連鎖反応を確立した。今回開発したシステムは、将来の生物医学研究において幅広い実用性を持つ細胞内連鎖反応システムを構築するための基礎となりえると考えられる。

本プロジェクトの当初の目的は細胞周期が回る毎にカセットが一つずつ落ちるCell Cycle Counterを作成することでしたが、現在のところ上記の連続反応を細胞周期と同期させることはできていません。