[研究成果] 中西班(西山)、有田班、高橋班の共同研究がeLife誌に掲載されました!
2023.02.03
Miyashita R , Nishiyama A, Qin W , Chiba Y, Kori S, Kato N, Konishi C, Kumamoto S, Kozuka-Hata H, Oyama M, Kawasoe Y, Tsurimoto T, Takahashi TS, Leonhardt H, Arita K, Nakanishi M. The termination of UHRF1-dependent PAF15 ubiquitin signaling is regulated by USP7 and ATAD5 eLife. 2023. Feb 3;12:e79013. doi: 10.7554/eLife.79013.
DNAメチル化制御因子PAF15のUSP7とATAD5を介した
不活性化の分子機構を解明
細胞の形質を維持するためには、染色体上のDNAメチル化パターンが、DNA複製に伴い娘DNAに継承されることが重要である。DNA複製時には、維持型DNAメチル化酵素DNMT1、またそのリクルーターであるUHRF1がDNAメチル化維持に不可欠な役割を果たす。これまでに、UHRF1はDNA複製時には、PCNA結合タンパク質として知られるPAF15 (PCNA-associated factor 15)のマルチプルモノユビキチン化を介して、PAF15のクロマチン結合およびDNMT1との相互作用を促進することで、DNMT1のメチル化部位への局在と活性化を引き起こすことが報告されている。しかし、DNAメチル化完了時に、PAF15そしてDNAメチル化維持機構がどのように不活性化されるのかは不明であった。今回、私達はPAF15と相互作用する脱ユビキチン化酵素としてUSP7を同定した。ツメガエル卵抽出液由来の無細胞系を用いた解析により、USP7はTRAFドメインとUBL1,2ドメインを介して、PAF15を認識し、PAF15に対する脱ユビキチン化酵素として働くことで、S期後期におけるユビキチン化PAF15のクロマチンからの解離を促進する役割を果たすことが分かった。さらに、私達はPCNAのunloading因子として知られるATAD5-RLC複合体が、非ユビキチン化型PAF15をクロマチンから除去する活性を示すことを見出した。これは、S期後期において、ユビキチンPAF15がUSP7による脱ユビキチン化、そしてATAD5-RLCによるunloadingという二つの異なる経路により不活性化されることを強く示唆している。また、PAF15とUSP7の相互作用の阻害やUSP7/ATAD5の共除去した条件下でDNAメチル化について調べたところ、染色体上のDNAメチル化レベルが有意に上昇していることが分かった。上記のPAF15不活性化機構は、染色体上のDNAメチル化レベルを適切に維持するために重要である可能性が考えられる。本論文は、DNAメチル化装置が、DNA複製後にどのように解体されるのかについての初めての報告であり、DNAメチル化維持機構の制御についてより理解を深めるものである。