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[研究成果] 北村班の研究成果がNat Commun誌に掲載されました!

2019.10.25

Hayashi Y, Goyama S, Liu XX, Asada S, Tanaka Y, Fukuyama T, Wunderlich M, O’Brien E, Mizukawa B, Yamazaki S, Matsumoto A, Yamasaki S, Shibata T, Matsuda K, Sashida G, Takizawa H, Kitamura T. Antitumor immunity augments the therapeutic effects of p53 activation on acute myeloid leukemia. Nat Commun 10:4689. Oct 2019.


AML(急性骨髄性白血病)ではMDM2が高頻度に過剰発現しており、腫瘍抑制因子p53の機能が抑制されていることが知られている。本研究ではMDM2阻害剤DS-5272を用い、AMLにおけるp53活性化による治療効果を検討した。

マウスAMLモデルを用いた解析でDS-5272は顕著な腫瘍抑制効果を示した。しかし免疫不全モデルではその効果が減弱し、p53活性化による治療効果に免疫系が寄与していることが示唆された。治療後のAML細胞ではHIF1αやその転写標的であるPD-L1といった免疫応答関連分子の発現が上昇しており、これらの阻害剤との併用は治療効果を高めた。また残存AML細胞は骨内膜面に残存しやすかった。免疫細胞への効果についても検討したところ、DS-5272はNK細胞を活性化し、また治療効果を増強することが分かった。

これらの結果から、p53活性化によるAMLの抑制にはNK細胞が寄与しており、HIF1α/免疫チェックポイント分子の阻害剤との併用が治療効果を高めると考えられる。