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[研究成果] 鐘巻班と原田班の領域内共同研究がGenetics誌に掲載されました!

2022.02.05

Negishi T, Kitagawa S, Horii N, Tanaka Y, Haruta N, Sugimoto A, Sawa H, Hayashi KI, Harata M, Kanemaki MT. The auxin-inducible degron 2 (AID2) system enables controlled protein knockdown during embryogenesis and development in Caenorhabditis elegans, Genetics, 220(2):iyab218 (2022) doi: 10.1093/genetics/iyab218


内容紹介
線虫のタンパク質機能を解析するためには、そのタンパク質機能を欠損させて表現型を調べることが有効です。この目的のために、変異遺伝子を持つ個体やRNA 干渉法が用いられてきました。しかしながら、発生過程に重要な役割を持つ遺伝子は、欠損により発生不全となり、それ以降の解析が困難となる場合があります。また、卵には母性由来のmRNA やタンパク質が多量に蓄積しているために、本来ならば初期発生に関与するタンパク質の機能が、既存の技術では初期発生において表現型として表出しないこともあります。我々の開発したオーキシンデグロン( AID )法 は、標的タンパク質を任意の時間において迅速に分解除去できるため、既存の技術では観察できない表現型を解析できることが期待されます。すでにAID 法はアメリカのグループにより 虫に応用されて、さまざまな研究で使われています。しかしながら、従来の AID 法はオーキシン非添加時における弱い標的分解や、高濃度オーキシン投与による影響などの問題点がありました。
 そこで、我々は出芽酵母、培養細胞、マウスを材料に去年開発した、改良オーキシンデグロン AID2 を線虫に応用し、これらの問題を克服することを目指しました(図1)。



図1:線虫におけるAID2の作動原理。デグロンタグ(AID*もしくはmAID)を付加した標的タンパク質は、リガンド5-Ph-IAA存在下において、変異型AtTIR1 (AtTIR1(F79G))が作るE3ユビキチンリガーゼ複合体に認識されて、ユビキチン化後に迅速に分解される。

 

 

 


その結果、線虫においてもAID2 法を用いることでリガンド非特異的分解を完全に抑制し、従来の1/1300 のリガンド濃度で迅速に標的タンパク質分解を誘導できることを見出しました(図2)。



2虫およ生体における分解誘導。AIDAID2比較実験をおこなた。AIDを導した個体では、GFPレポーターの発現が低下している。一で、AID2個体ではGFPレポータの発現変は見られない。シスムとも、リガンド添加により分解誘導できるが、AID2で使用する5-Ph-IAAはより濃度で分解誘導が可能である。

 


さらに、内在性ヒストンタンパク質の一種H2A.Z を分解することで、初期発生における発生不全表現型を観察することに成功しました。さらには、卵内の胚において分解誘導を誘導するために、卵殻透過に適した修飾リガンドを開発し、胚における迅速タンパク質分解も可能にしました(図3)。



3:卵内の胚における分解誘導。卵殻透過性をもつ新規リガンド5-Ph-IAA-AM用することで、胚においても効的な分解誘導が可能になた。

 

 


本研究は、国立遺伝学研究所・根岸剛文助教、鐘巻将人教授と東北大学・大学院生北川紗帆、原田昌彦教授が中心となり、岡山理科大学・林教授、国立遺伝学研究所・澤斉教授、東北大学・亜砂子教授らとの共同研究としてわれました。