[研究成果] 鵜木班(中西班)と古関班の共同研究がLife Sci. Alliance誌に掲載されました!
2023.05.25
Uemura S, Maenohara S, Inoue K, Ogonuki N, Matoba S, Ogura A, Kurumizaka M, Yamagata K, Sharif J, Koseki H, Ueda K, Unoki M*, Sasaki H*. UHRF1 is essential for proper cytoplasm architecture and function of mouse oocyte and derived embryo. Life Sci. Alliance, 6(8):e202301904 (2023)
UHRF1は卵母細胞および着床前胚の細胞骨格の構築と機能に必須であることを発見
UHRF1はDNMT1と共に維持DNAメチル化に必須のタンパク質である。しかしながら、私たちは以前に、UHRF1はマウス卵子や着床前胚では主に細胞質に局在していることを見出しており(Maenohara et al., 2017)、これらの特定の時期の細胞では、UHRF1はDNAメチル化維持以外にも何らかの役割を担っている可能性が示唆されていた。今回私たちは、野生型精子とUhrf1欠失卵子の交配により作製した母方Uhrf1欠失胚を詳細に解析した。母方Uhrf1欠失胚は、細胞分裂時に染色体分離異常や細胞質分配異常を呈し、着床前に致死であった。野生型受精卵と母方Uhrf1欠失受精卵の核置換実験により、この表現型は核の欠陥によるのではなく、細胞質の欠陥に起因することが示された。Uhrf1 KO卵母細胞のプロテオミクス解析では、チューブリンなど細胞質構造を支えるタンパク質の発現量が減少していることが明らかとなり、トランスクリプトーム解析にて、これらの変化はmRNAレベルではなく、タンパク質レベルで起こっていることがわかった。また、Uhrf1 KO卵母細胞では細胞骨格の顕著な崩壊が認められ、ミトコンドリア、小胞体、そして皮質下母性複合体(SCMC)の構成要素の局在の変化が認められた。今回の私たちの結果は、母由来UHRF1は、維持DNAメチル化以外の機能を介して、卵母細胞や初期胚の適切な細胞質構造と機能を制御している可能性を示唆していると考えられる。